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素材の味を極限まで引き出す

フルーツパスタで革命を

富山県氷見市には、日本三大うどんの一つとも呼ばれる手延べうどんがある。 比較的細めの麺でツルンとしたのどごしとモチモチ感が特徴だ。 かなや麺業(富山県氷見市)の金谷和義代表は、このうどんの製法を使って「氷見パスタ」を開発。 さらに、そのパスタに合うソースをつくり、手軽に楽しめるセットを2014年夏より発売予定だ。

ソースの可能性を探る

ミートソース、トマト、クリーム、海鮮……。パスタにはソースによってさまざまなバリエーションがある。それに比べ、「うどんにはつゆのバリエーションが少ないと思った」。こう語るのは、富山県で氷見の手延べうどんを製造するかなや麺業(富山県氷見市)の金谷和義代表だ。単なる〝うどん製麺業〞ではなく、バリエーション豊富なソースをつくりたいと考え、パスタのソースと麺をつくってみようと考えた。こうして開発されたのが「氷見パスタ」だ。

実は金谷氏は、もともとアルミ会社に勤務していたサラリーマン。製麺業を始めたのは、ある時たまたま食べた氷見の手延べうどんがきっかけだった。引っ越しをしたばかりで醤油のほかに何もなく、ゆでたうどんに醤油をかけただけのうどんを食べた。「それが、驚くほどおいしかった」(金谷氏)。さらに氷見手延べうどんの老舗うどん店がテレビでも放映されていたのを見て、「やっぱり氷見のうどんはすごい」と実感。その老舗うどん店の門戸をたたき、弟子入りを果たしたのだ。

数年の修行ののち、6年前に独立。独自の道を歩み始めた。


フルーツを使ったソース

うどんをつくりながら「氷見パスタ」の開発を行っていた金谷氏。パスタのソース開発においては、「簡単につくれておいしいソース」ということを念頭に考えた。こうして生まれたのが、今年の夏に向けて売り出す予定のトマトソースとユズ酢、氷見パスタ麺の3点セットだ。

ゆでて冷やした氷見パスタに、瓶に入ったトマトソースとユズ酢を1:1の割合で混ぜ合わせる。理科の実験のように二つの素材を合わせることで、夏にうってつけの冷製パスタができあがる。具は、甘酸っぱいフルーツを絡める。パスタにフルーツを絡めるという食べ方は、あまり聞いたことがないと思われるかもしれない。だが、「富山県産の酸味の強いブルーベリーや山ブドウは、氷見パスタ麺によく合う」(金谷氏)。気候が関係しているのか、富山で採れるフルーツは、酸味の強いものが多く、料理に向いているのだ。


富山製パスタを世界へ!

ソースに使っているトマトも富山産だ。富山湾でとれる塩分を含んだ海洋深層水を使って育てたトマトは、甘みもうまみも濃縮される。「添加物を入れず、素材そのままの味で十分おいしいソースになる」(金谷氏)。

さらにセット予定のユズ酢にも富山県産のユズを使用。これをベースに富山のフルーツを絡めれば、オール富山のフルーツ
パスタが完成する。昨年氷見市内のレストランでは、富山の特産品である灘浦ミカンを絡めたフルーツパスタが提供され、人
気となった。富山産のフルーツパスタは、新たな郷土食になる可能性も秘めているのだ。

氷見や富山県内のフルーツを使ってつくる氷見パスタ。現在はトマトソースとユズ酢と麺とのベーシックなセットの販売を予定しているが、今後、さらに富山県産のさまざまなフルーツを使って手軽につくれるソースを開発し、「富山を元気にしていきたい」と金谷氏は言う。

トマトの赤とフルーツのカラフルな色合いを合わせたフルーツパスタは、見た目も華やか。「本場イタリアにも新たな食感のパスタとして売り込んでいきたい」と語る金谷氏。〝引き算の料理〞と言われる和食文化を持つ日本から生まれた、素材のおいしさを追求した新パスタは、世界に通用する食べ物として、広く認知されていくことだろう。

※月刊ビジネスサミット2014年6月号より