がんばろうニッポンの中小企業とは?

ノベルティー需要は業界を問わず

出会いのヒントを 自ら提案

長野県にある老舗健康茶メーカー黒姫和漢薬研究所。創業当初から同社が提供する「えんめい茶」は、さまざまな薬効を持つといわれる山野草をブレンドしたものだ。「えんめい茶」を軸に、自社製品を展開する傍ら、健康茶をOEM製造している。東京ビジネス・サミットでは、健康食品とは異なる業界へも積極的にOEMやノベルティーとしての可能性をアピール。商談へとつなげている。

OEMと二つの方向

長野県北部には、北信五岳と呼ばれる美しい山々が広がっている。その一つ黒姫山麓に黒姫和漢薬研究所はある。今でこそ耕作地広
がる美しい地だが、ここは戦後まもなく、人のいなかった山を切り拓いてつくった開拓村がその始まりだ。戦火に焼かれた東京を離れ、入植者としてこの地に入ったのが、同社の創業者、狩野誠氏だ。

「開拓村は貧しく、作物もろくに収穫できない時代があった。自活するために、山の中の体にいい植物を採取し、販売しようと生まれたのが『えんめい茶』」。黒姫和漢薬研究所で流通チャネルチームリーダーを務める伊東工氏は同社の歴史をこう語る。現在では、業時からあるえんめい茶以外にもさまざまな健康茶を製造。OEMも積極的に行い、同社の製造アイテム数は400種類以上にも及ぶ。

昨年参加した東京ビジネス・サミットでも、「相手先ブランドで提供する健康茶の開発というオーダーも多くきた」(伊東氏)。たとえば化粧品会社からは「“美容にいいお茶”を開発してほしい」と言われ、また、通信教育事業を行っている会社からは、「会員向けの通信販売アイテムの一つとして自社ブランドで提供したい」との話もあった。


異業種へと切り込む

そんな同社が2012年から力を入れているのが、「Café deKampoh(カフェ ド 漢方)」という自社ブランドだ。「これまでのメインユーザーは50歳代以上。若い層へと広げたいと考えた」(伊東氏)。少子高齢化が進み、現在、メインユーザーである高齢者は増えつつある。だが、いずれそうした流れは頭打ちになる。今のうちにユーザー層を若い女性にまで広げたいと考えたのだ。

そのために、まずは同社の製品の基本“漢方”の考え方をわかりやすい言葉に置き換え、漢方素材だけでなく、西洋ハーブや日本来の薬草、アールユベーダなど、世界中の体にいいとされる山野草を漢方の考え方で分類。機能に沿ってブレンドしたお茶を提案した。

Café de Kampoh は、同社のこれまでの製品とは一線を画す。その最たるものがデザインだ。「ブランドデザインを海外のデザイナーに依頼し、世界に通用する洗練されたものにした」(伊東氏)。30〜40代の女性を意識し、高級感のあるイメージを打ち出したのだ。

東京ビジネス・サミットでは、この新たな商材であるCafé deKampoh を紹介しつつ、ほかの商品もブースに並べ、OEMやノベ
ルティーでの利用も可能だと紹介。洗練されたデザインと、これまでにない漢方を全面に出したお洒落なお茶をアピール。人の目を惹くとともに、技術力の高いメーカーであることをPRしていった。

「東京ビジネス・サミットでは、ウチの健康茶をつくる技術を使ってもらえるパートナーを探したかった」と伊東氏は言う。健康食品業界では、老舗と言うこともあり、比較的名の知られている同社だが、業界以外での認知度はそれほどでもない。「出展することで、ウチが健康茶の製造を行っていることを知って欲しいと思った」(伊東氏)。同社のこうした思惑は、出展したことで花開いた。展示会の場で出会った企業と、現在いくつもの商談が進んでいるという。


身近に感じてもらうこと

こうした展示会で、実のある商談へとつなげるコツは、「自分たちが探しているパートナーをイメージし、自社製品をどのように使ってもらえるかを具体的にアピールすること」と伊東氏は言う。

たとえば通信教育をメイン事業とする企業には、ブースでCaféde Kampoh のシリーズを説明しながら「“ノベルティー”としても活用できる」と話しかけた。すると、「だったら、自社で扱うオリジナルのお茶をつくってもらえないか」と先方から申し出があった。通信教育と健康茶では、一見関連性は見えない。だが、受講者に提供する特典として活用できると訴え、他人事から自分事へと担当の意識を変えたのだ。

異なる業界へアピールする場合、単に自社製品を並べて説明するだけでは、自社での活用イメージがわきにくい。相手先にどのように使えるかを具体的に提示すると、「健康茶なんてウチとは関係ない」と思っていた人たちも、「その活用法ならばウチでも使える」と興味を持ってもらうことができる。さらに、「こういうふうにはできないのか?」と相手先から思わぬアイデアが生まれることもる。双方向のやりとりで、ビジネスの幅が広がっていくのだ。

「今年も出展するならば」と前置きして伊東氏は語る。「Café deKampoh ブランドで、一袋ずつ販売するティーバーを、オフィス向けに展開できるような形で提案したい」。健康への意識が高まりはじめた人を啓発するアイテムとしても、新たな広がりを見せるだろう。


※月刊ビジネスサミット2014年5月号より

  • 株式会社黒姫和漢薬研究所
  • 長野県上水内郡信濃町柏原4382
  • 026-255-3125