がんばろうニッポンの中小企業とは?

衛星を使った雷・気象情報提供システム

オンリーワンの雷情報サービス

日本全域を網羅できる正確な落雷の位置データを観測し、衛星を使って企業や組織に提供しているフランクリン・ジャパン。その精度は補足率90%、平均位置誤差0.5キロメートルと世界最高の水準を誇っている。精度の高さと自社開発システムの使いやすさが高く評価された結果、情報提供先にはYahoo!Japanなどメディアも含まれるようになった。雷という特殊な自然現象を使った新しいビジネスモデルが注目を集めている。

雷情報の総合ビジネス

地震雷火事親父と恐れられるとおり、雷は古来から日本人の生活と密接に関係してきた。特に農村では雷は雨とともにやってくるため、稲の妻(いなづま)であり、田んぼに水をもたらす神様でもあった。しかし、最近ではゴルフ場で死傷事故を発生させたり、電源を通じてコンピュータを破壊させるやっかいな存在になっている。

一般家庭の平均電流は30A程度なのに対して雷の電流は平均30キロA。家庭用電流の約100〜1000倍も大きい電流が直撃するダメージは大きい。それが昨年一年間、陸地で約85万回も落ちているというから日本は雷大国なのである。

こうした雷の発生状況をリアルタイムで提供しているのがフランクリン・ジャパンだ。ジャパンと名がついているが、純粋の日系企業。もともと防雷のための保安機器を製造・販売しているサンコーシアの情報関連会社としてスタートした同社は、衛星を使った気象情報と解析技術をマッチングさせて、単に雷データを得るだけでなく、過去の情報と今後の発生予報など、トータルの雷情報サービスを行っている国内唯一の企業となった。


顧客に支持される精度

稲束隆一社長は「情報の正確さを認識していただいたお客様から徐々にビジネスが広がってきました。20年経ってやっとお客様が必要とする使いやすい形での情報提供ができるようになったと思います」という。

特に落雷被害の大きい製紙会社や自動車メーカー、自治体・学校・鉄道などのほかTV放送、Yahoo!JAPANなどメディアにまで顧客層は拡大しており、契約継続率は約99%と高い。特に落雷による死傷事故の多いゴルフ場での契約数が全体の半数を占めており、ゴルフ場向けに落雷事故防止マニュアル作成の手引きなども発行している。


技術革新でさらに精度アップ

こうした顧客層の広がりは同社の正確な雷情報にある。補足率90%、平均位置誤差0・5キロメートルという数値は世界最高水準で、これを実現させているのがセンサーと衛星を使った情報提供システムである。

2003年に日本ではじめての全国雷観測ネットワーク(JLDN)を構築した。これは全国30ヶ所にセンサーを設置し、これらをネットワーク化させてGPSから送られる正確な時間情報を利用することにより、落雷の位置や時刻、電流値などを観測できる。

このセンサーの精度をあげることで情報特定精度がさらに向上するため、同社では創業以来、技術開発を進めており、現在もセンサーは更新中だという。


ニーズにあわせた情報提供サービス

全国から集まった雷観測データはフランクリン・ジャパンの情報処理センターに集められた後、顧客に提供されるが、ここで衛星を使った情報提供と、有線による情報提供の二つにわかれる。

現在、契約社数は約500社以上だが、それぞれの企業によってサービスの内容を細かく設定している。受け取り方もモバイルやパソコン、音声での警報など細かく選べるほか、情報内容も単に雷情報だけなのか、局地的豪雨や地震、台風情報などを含めたものかなど、自由に選択できるようになっている。

最近では花火大会など大きなイベントの主催者が一時的に情報を利用できるサービスが好評だという。


社員の半数が気象予報士

同社のサービスは単に雷や気象情報を提供するだけでなく、落雷データを使った各種サービスや、コンサルティングなど複合的に行っている点にある。

落雷データを使ったサービスでは損害保険請求時に必要になる落雷証明書の発行や、建設工事の事前調査のための落雷統計データの提供が人気を集めている。

気象予報士によるサポートでは社内10名の気象予報士が気象状況の相談や、イベントなどの開催等に関するコンサルティングなどを行っている。「社員20名のうち半数が予報士の資格を持ち、イベント会場の気象状況を監視するなど、イベント運営を天候の面からサポートしています」(営業部兼気象予報部 気象予報士今村益子課長)。「最近では花火大会での集中豪雨などが社会問題になってきて
おり、大きなイベントでの気象情報に関するニーズが高まってきています」(同小林万梨恵気象予報士)。


培ってきた信頼が武器

今後の展開について稲束社長は「創業以来、約20年かけて信用を築いてきたので、その上で新たな展開も考えています。もともとシステムはすべて独自で開発してきたので、今後も独自開発の路線は継続していく。また、観測と情報提供のトータルでビジネスモデルをつくってきたので、そうした仕組み全体をトータルで提供できればと思っています。

もともと、雷だけに特化した気象情報システムというのは世界でもあまり類を見ないものです。今後は類似サービスも出てくるかもしれませんが、20年かけて培ったノウハウはほかに負けないものがあります。20人の小さな会社ですが、夢は大きいですね」と語ってくれた。



※月刊ビジネスサミット2014年6月号より

  • 株式会社 フランクリン・ジャパン
  • 神奈川県相模原市中央区宮下1-1-12
  • 042-775-5656