がんばろうニッポンの中小企業とは?

きめ細かなものづくり提案

デスクトッププラスチック工場の登場

誰でも使える机の上に置けるプラスチック工場――。 スマイルリンク(東京都太田区)社長の大林万利子氏は 自社開発した3DプリンタDS.1000をそうたとえている。 コンパクトで簡単操作が特徴的な同社の製品は大林氏のものづくりに対するこだわりと 気配りが形となって表れた製品となっている。


大手メーカーから2年前に独立

スマイルリンクの大林万利子社長は大学卒業後、大手メーカーで26年間、原価管理部門で開発から製造までのコスト計算などを行ってきた。「会社では一つの商品の立ち上げから設計・製造して販売するまでのコストを見ていた。そんな中でものづくりの楽しさを体験し、2年前に退職。独立した」という根っからのものづくり女子なのである。

板金業を営む夫の影響もあって、スマートフォンのスタンドや壁に掛けて充電できる『iPhone専用壁掛けホルダー』などをデザイン。ネット販売で、シンプルなデザインだけでなく、落ちないように突起を付け、充電のコードが邪魔にならない工夫を凝らすなど、ちょっとした気配りが「使いやすい」と人気商品となっていた。金属製品以外にも六角ふせんなどユニークな商品をつくってはネットでコツコツ販売してきた。

それが独立してわずか2年後、安価でコンパクトな3Dプリンタを開発してしまった。きっかけは3Dの部品をつくるプロジェクトに参加したことから。もともと3Dプリンタには興味があったという大林氏は、そのプロジェクトに参加していた企業と共同で開発に着手し、見事製品を完成させた。

今では大学の研究室や、ロボットの部品製造、大企業の試作の現場で利用されている。数ある3Dプリンタの中から選ばれている理由は、製品の高い技術力にある。

3Dプリンタの欠点であった材料の「詰まり」がDS.1000では解消された。また、一般的な3Dプリンタで利用できる素材は1種類だが、DS.1000は調整幅があり、温度を調節できるようにしてナイロンやABS樹脂など複数素材の利用が可能となっている。


国産ならではの強みを発揮

そしてDS.1000の最大のポイントは国産であること。3Dプリンタは米国製が多いが、故障で部品を取り寄せると輸送に時間がかかりメンテナンスが非常に高価なのが欠点だった。国産のDS.1000は部品交換も早く、不調の際も電話ですぐに対応できる。

「お試しサービス」として有料の体験講座もあり、そこではDS.1000を自由に使うことができる。こうしたほかにない、きめ細かな対応が人気の秘訣でもあろう。

3Dプリンタはソフトクリームのように上から足していくので、熱いうちに上に乗せると崩れてしまう。積み上げるときはていねいに、塗るだけのときはスピードアップするなど、できるだけ早く仕上げる工夫を凝らしている。「使う人の身になった設計を心掛けているので、ぜひ使って体験してみて欲しいですね」と大林氏は言う。


子ども達にものづくり体験を

今後は歯科用など医療用教材の分野で積極利用が予想されるが、大林氏が最も期待しているのは学校教材として教育現場での利用である。すでにモンゴルの工業系の高等専門学校ではDS.1000が導入されており、それを使った授業が人気だという。「3Dプリンタは金型が無くても自分の夢を形にできる工場」(大林氏)。子どもの頃から自分のイメージしたモノを形として3Dプリンタでつくり上げることができたら、ものづくりへの興味はもっともっと増してくるはずだ。安全で簡単に使える同社の3Dプリンタは、今後、学校などでの多くの利用が期待できる。


※月刊ビジネスサミット2014年5月号より
 

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